京都簡易裁判所 昭和58年(ハ)145号 判決
(抄録)
「一 X主張の立替払委託契約は、証拠及び弁論の全趣旨によると、次の順序を経て成立する。
信販会社と加盟店契約を結んでいる販売店から商品を購入し、或いは労務の給付を受けようとする者(すなわち購入者)が立替払委託契約を結ぼうとするとき、(1)先ず購入者は加盟店の店頭で信販会社あて立替払委託契約の申込みをし、その場で信販会社が予じめ配布してある一連の契約書類用紙につき契約書を作成する、(2)次に加盟店は右契約書類の記載内容を電話で信販会社に通知する(これを同契約書約款では、販売店が購入者に代って立替払契約の申込をするものと構成する)、(3)そこで信販会社は部内書類として調査票を作成して電話で聴取した右記載内容を登載し、これに基づき確認係担当者が購入者に対し電話で契約意思の確認をし、申込内容が調査票の記載内容と合致したとき右申込を承認し、その旨を加盟店に通知することで成立し、(4)前記申込書類は契約成立後は『契約の内容を明らかにした書面』として、後日、加盟店から締切日に合わせて送付される。
これによると、立替払委託契約は購入者に代って加盟店のする電話による申込と、電話による購入者に対する意思確認を経て成立するものということができる。
二 これを本件立替払委託契約について見る。
(一) 証拠によると次の事実が認められる。
(1) W従業員が申込者をY名義で作成したと認むべき甲第一号証(Xあてショッピングクレジット契約書)によると
A 現金販売価格 二六五、〇〇〇円
B 申込金 一五、〇〇〇円
C 所要資金 二五〇、〇〇〇円
J 支払回数 一〇回
との記載はあるが、D分割手数料、E支払総額、F初回支払年月日、G初回分割払金、H第二回目以後の分割払金等の欄の記載がないこと。
(2) X従業員が昭和五七年九月二二日に作成したと認むべき甲第二号証(調査票)によると、右A、B、C及びJの記載があるほか、確認内容欄に特別指示事項として、九月二二日に本人の勤務先に電話で確認を入れ、Y本人から一〇、一一月に五万円ずつ、一二月には一六万円ほど支払うつもりと聴取った旨の記載があり、決済を経て九月二七日に連絡済みの処理がされていること。
(3) ところでYは昭和五七年九月二一日、Wにおいて本件施術契約申込をして甲第三号証の一(申込証)を作成し、入会金五、〇〇〇円を支払い(後日、更に金五、〇〇〇円を追加支払)、Wの責任者Mは七〇時間コース代金五〇万円の施術を受けるよう、その支払方法としてXと訴外Nとの二社に金二五万円ずつに分けて立替払委託契約をするよう勧誘したこと。
(4) そして成立に争いのない乙第四号証(Nあてのショッピングローン契約書)は甲第一号証と同じくW従業員が申込者をY名義で作成したと認められるところ、右乙号証によると
A 現金販売価格 二七〇、〇〇〇円
B 申込金 二〇、〇〇〇円
C 所要資金 二五〇、〇〇〇円
D 手数料 一七、三七五円
E 分割払合計 二六七、三七五円
F 第一回支払日 昭和五七年一〇月二六日
G 第一回分割払金 五〇、〇〇〇円
H 第二回以降分割払金 五〇、〇〇〇円
I ボーナス月の支払額 一六七、三七五円(一二月)
J 支払回数 三回
との記載があること。
(二) 右事実関係からして
(1) 先ず、証人Mが『Yは本件施術契約を申込んだ際に、X及び訴外Nの二社に対し各金二五〇、〇〇〇円ずつの立替払委託契約を申込んで合計金三五、〇〇〇円を支払い、その旨の契約書に自署した』旨の証言部分はY本人の供述と対照して採用しがたいし、
(2) 次に、本件立替払委託契約においてXは商品代金二八〇、〇〇〇円、昭和五七年一〇月を始期として毎月金二八、〇〇〇円の分割払であると主張するところ、前顕甲第一号証においては既述のとおり所要資金二五〇、〇〇〇円と記載するだけで、支払の始期はもとより分割手数料の額ないし分割払金の記載がない(甲第二号証においても然り)うえ、X従業員は電話による意思確認にあたり、Yから別異の返答を受けていること(返答内容は訴外Nに対する分割方法に相当する)に徴しても、まだ購入者の申込と信販会社の承認とが合致したものとは認めがたく、証人Sの証言も一般論として述べるに止まり採用できない。
(三) すると、加盟店であるWがYに代って本件立替払委託契約の申込みをしたこと、及びX確認係担当者がYの意思確認をしたことについてのXの立証不十分であり、他に証拠もなく、まだ本件立替払契約の成立を認めるに足りない。」